帰国したばかりで、溢れる様々な思いでいっぱいです。

エルベ・オレリアご夫妻の暖かく誠実で語り切れないほどのチャーミングなお人柄をどのようにお伝えできるでしょうか。

とても1週間とは思えないような夢のような日々。

よく学び、よく食べ、よく飲み、よく歩き、よく笑い、深い感動に包まれた熱く濃い1週間でした。

auv-yayoia-01

 

昨年末ネットでエールフランスの格安のチケットを見つけ、仕事のことも深く考えず15日間のキャンセル不可のチケットを確保したところから始まりました。定年も過ぎまだ仕事は続けてはいても、どこか大きなひと段落という気持ちがこの長い休暇を取らせたのでしょう。

「50の手習い」を超えて定年間際に独習から始めたフランス語。

そうだ!息子が以前お世話になったエコールサンパのホームステイに行こう!と大塚さんに連絡を取ると、予定していたアキテーヌ地方の企画はなくなって、オーベルニュのル・ピュイ・アン・ブレーはいかですか?と聞かれました。

auv-yayoia-03
そもそも10年くらい前に映画でみた「サンチャゴへの道」以来、サンチャゴ・デ・コンポステーラ(サンチャゴへの巡礼路)いつかその一部でも歩いてみたいと思っていたものの膝を悪くし、好きだった山歩きもできなくなっていて夢のまた夢となっていたその巡礼路の出発地がル・ピュイだったのです。もうこれはその地に呼ばれたとしか思えない、と即決しました。
auv-yayoia-04

 

実は、私は3年程前に言葉もまったくできないのに一人でフランスを旅しました。それまで「フランスのワインとチーズは大好きだけど、フランス人は冷たい。苦手」と思い込んでいたのです。ところが、TGVでの移動中泣き続ける幼い子どもに対するフランス人の寛容さに出会ったり、道に迷って「旅行ガイド用(カタカナ)フランス語」でおずおずと尋ねると実に親切に教えてくれたりという連続。偏見を持っていた自分を深く反省するとともに、すっかりフランスの人の暖かさの虜になってしまいました。また、自立した個人が醸し出す潔さ、人と人が対等に向き合う心地よさを強く感じるようになっていました。そして、もっと語り合えるようになりたいとフランス語を習い始めたのです。

 

今回1週間エルベとオレリアの元で過ごしたことで、その思いを深くするとともにフランスの地方の豊かさを深く感じました。チーズ工房にも連れて行ってもらいました。途中の牧草地では牛や馬、羊が草をはみ、工房では力強いおかみさん、若い娘さん、女性4人でビオのチーズを作るところを間近で見せてもらいました。チーズを作る過程でできる乳清は豚の餌になり、美味しい豚肉ができるとのこと。エルベもエプロンとキャップをかぶってチーズの型詰めに参加。あとで「どうしてチーズ造りができるの?」と聞くと「何回もきているうちに・・・」とのこと。
auv-yayoia-08
また、オレリアが毎日作ってくれる美味しいお料理によくでてくるランティーユ(レンズ豆)もたくさんこの地で作られていました。

帰る日の土曜日のマルシェでチーズ工房にいた娘さんが、ソーセージやパテ、豚肉などを売るお店を手伝っていました。それぞれが誇りを持って生産した食品を自らが自信を持ってマルシェで売り、買う人も売る人も顔の見える関係です。日本ではこの様な豊かさが大量生産、大量流通の中で随分失われていることを実感しました。農業国・酪農国としてのフランスの力強さを感じました。

auv-yayoia-011

 

そして、夢であったサンチャゴ巡礼路を1日かけてなんと23km歩くことができました。

朝7時から大聖堂で巡礼者のためのミサがあるとのこと。クリスチャン以外の者も参加できるということでしたので、頑張って早起きしてひとりで参加してきました。40人近い世界各国から来た巡礼者たちが参加していました。讃美歌の美しい音色に敬虔な気持ちになりました。前日にエルベたちに案内してもらった時、熱の石(病者を癒したという奇跡の石)に手を置き長い時間静かに祈る方を何人も見ました。

auv-yayoia-05
巡礼は、様々な祈りを持った人、文化的な興味、自然を歩く楽しみなどすべての人に開かれていました。

私自身は信仰というものを持ちませんが、人が祈る気持ちや信仰者への敬意は持っています。ミサに参加したことで私自身も様々な縁によってこの地に導かれ、エルベ・オレリアという素晴らしい二人に出会えたこと、フランスとの出会い、あらゆることに対して感謝の思いを深くしました。

そして朝食を食べて出発!自然の豊かさ、花の香り草の匂い、鳥の声、古い教会の跡、赤ずきんちゃんが寄り道したような深い森も抜けました。夢のような時間でした。とはいえ、痛めている膝もあり大変でした。けれどエルベとオレリアが、私が二人に気を遣わずに自分のペースで歩けるように距離を取りつつ、ところどころでいつも待っていてくれたのでなんとか最後まで歩けたのだと思います。こんなところにも二人の暖かい心遣いを強く感じました。

auv-yayoia-02

最後の1時間は「着いたらビールだ!ビールだ!」と頑張りました。そのビールの美味しかったこと。

帰りは、エルベたちのお友達がわざわざ車で迎えにきてくださいました。その方も、ルピュイからコンクまでの300kmを10日間歩いたと話していらっしゃいました。そして、「続きは勿論歩くのでしょ?」と聞かれていつのまにかこの道の続きを歩こうと思うようになっていました。

 

楽しくかつハードなハイキングの翌日の午前午後もレッスンです。ところが不思議なことにレッスンが苦にならず楽しいのです。夕方、ポイヤック家のお城までドライブもしました。

前日は晴天で28℃もあったのに、その日の夕方お城につく頃には雪がちらちらとしていました。この地方でも5月の雪は珍しいとのこと。

村全体がエコミュージアムとなっている美しい村、美しい池、毎日いろいろな場所に遊びに行っていたのにフランス語の勉強もしっかり出来てびっくりでした。

auv-yayoia-07

 

エコールサンパもそうですが、フランス語でフランス語を学ぶということが、入門者初心者にとっても無理なくできるカリキュラムに驚きました。そして、とても社会性の高い内容であることも興味深い点でした。履歴書を読んで、求人を読んで繋げて考えるとか、ある職業にはどのような能力、性格が求められると思うかとか・・・

自分の住んでいる町の好きなところとか、健康に良い生活悪い生活、またそれへのアドバイスの仕方とかを聞き取ったり答えたり質問したりするうちに、いつのまにか人称別の動詞活用や時制などを自然に学んでいました。フランス語を学びながら社会を学ぶというとても面白いレッスンでした。

auv-yayoia-011

 

毎日毎日オレリアの作ってくれるお料理の美味しいこと。こんなおいしいお料理にはワインのお伴が必須です!ということで毎日毎日よく食べよく飲みました。出来立てチーズをはじめ、様々なチーズもすべて美味しく、どんなレストランにも負けない程です。そして、実はエルベも手早くマヨネーズやドレッシングを作る料理の名手でした。
auv-yayoia-06

 

最後の晩は、車を30分以上走らせ郊外のレストランに連れて行ってもらいました。車中の温度計が示す外気温は-2℃!帰りは大雪だったりして!なんてふざけて話しながら到着。ここでしか食べられない郷土料理が食べたいという私のリクエストに応えてくれたのです。コラーゲンたっぷりの子牛の頭、それに子羊に香りいっぱいのきのこ添え、豚のほっぺにたっぷりのじゃがいも添え。どのお料理も本当に美味しくて、3人ともお腹いっぱい食べても食べきれないほどの量です。
auv-yayoia-012

食事しながらフランス語、英語、日本語の発音について話になり、苦手な発音でいろいろな言葉をしゃべっては大笑い。サンチャゴ巡礼の道はまだ続けるんだよね!秋にはキノコ狩りもできる!と盛り上がり、もう次は絶対に秋!と決めていました。とても楽しいひと時でした。

 

そして、最終日もしっかり午前中は勉強をして、マルシェで買い物しオレリアの作ってくれた昼食を食べてリヨンに向かいました。

リヨンのホテルで別れるときには二人への熱い思いがこみ上げて涙で言葉にならないほどでした。二人の穏やかで静かでありながら強く誠実な人柄に、どれほど安心し、癒されて過ごすことができた日々だったでしょうか。

エルベ、オレリアのお二人には感謝の言葉も尽きません。本当にありがとうございました。

auv-yayoia-10

また、エコールサンパでのレッスンを受けたことのなかった私にとって、出発前の1か月に6時間の集中レッスンを自由が丘校で受けることができたことは大きな力になりました。

大塚さんをはじめ沢山の方に支えられて、素晴らしい時間が持つことができました。心よりお礼申し上げます。

 

追記:

料理のこと旅のこと、花や木々、大好きな猫のことなどたくさんのおしゃべりは何だったのか不思議になりました。帰国後レッスンの録音を聴いて謎が解けました。私、独り言で日本語をすごくしゃべっていました。それはそうですよね、初級者なんですから。ただ、二人が多分意識的に日本語ではなく、わかりやすいフランス語で話してくれていたので、フランス語で会話していたような錯覚に陥っていたのかもしれません。

それでも、ホームステイを終えてから帰国までの3日間は、レストランの予約の電話も、ホテルも、街歩きもずっとフランス語だけで過ごせたので、レッスンと共にフランス語のシャワーの中で過ごせた成果はとても大きかったと思います。