準備

「初めての留学でも安心な学校で勉強したい。授業で紹介された夏至の音楽祭La Fete De La Musiqueを芸術の都パリで見てみたいし、せっかくだから他の地域も旅行しないともったいない…。」

大塚さんには、そんなわがままな希望を全部受け止めていただき、初めてお話したその日のうちに、とても自分ひとりでは考え付かない留学プランが出来てしまいました。

1. 最初にパリで夏至の音楽祭
2. 次にトゥールラングに留学
3. 最後はモンペリエでプティ・バカンス

C’est chouette!

トゥールラング校長のヤニック先生とは、留学説明会でお話していて安心感がありました。旅行先にモンペリエ選んだのは、サンパの教科書で知っていたこと、そしてこの街をこよなく愛する大塚さんにたくさんの魅力を伝えていただいからです。

正式に留学を申し込んた後、航空券は手配したものの、パリ着・夏至の音楽祭・トゥール留学・モンペリエ発、それ以外の予定も手配も真っ白…。どこから手をつければ良いか分からない状態でしたが、大塚さんは快くご相談を引き受けてくださいました。

実際のカウンセリングは、私が興味を持った分野のおすすめスポット、散策のための安全なルート、ホテルやレストラン、お土産、空港情報など、盛りだくさんの内容で旅行のイメージを掴むことが出来ました。さらに、SNCFのサイトを使って切符の予約をするトレーニングまでしていただいたので、自分でTGVの切符を手配することもできました。

最後のカウンセリングでは、予定とメモを書き込んだ行程表を見ながら、緻密なシミュレーションをしていただいて、オリジナルの旅行計画が完成。街中で調べる・考える・判断する等で頭を使うと、注意散漫になってしまう私にとって、大塚さんと作り上げた旅行計画は、1人でも余裕をもって安全に行動をするための、大切なお守りになりました。

もちろん、旅行のプランニングと平行して、フランスでのマナーやコミュニケーションの方法、学校の情報等、安全のための注意事項等、留学に関することも充分にアドバイスを受けていたので、あとは私が旅立つだけ、という万全な状態で送り出していただきました。

留学と一人旅は、フランス語初心者の私にとっては大きな冒険でしたが、大塚さんには留学のみならず、旅行のエキスパートとしてもサポートをしていただけたこと、出発前や留学中にも温かく応援をしていただけたことが、とても心強かったです。

パリで夏至の音楽祭
トゥールでの留学前に、パリで観光する日を設けました。
一般的な観光スポットよりも少し踏み込んた世界を見たかったので、最初は地元の人々が集うパッサージュと、その外れの老舗のビストロを目指しました。どちらも、大塚さんおすすめのスポットです。帽子とステッキ、カード等のレトロな専門店や、シックなホテルを覗きながらビストロへ。店先まで大行列でしたが、幸いにも親切なマダムに相席をさせていただいて、すぐに座れました。たくさんのメニューに迷っているうちに慌ただしくオーダーを聞かれたので、反射的に、サンパの授業で覚えていたステーキを注文してしまいました。他に美味しい物はあったかもしれませんが(笑)、私が話したフランス語が通じただけでも大喜びです。相席のマダムは偶然にもパリ在住の日本人で、ワインのお供をさせていただきつつ、たくさんのおしゃべり。エレガンスとは、このマダムのようなアティテュードなのでしょう…。勉強になるお話をたくさん伺って、また励まされました。

食後は歩きとBird(電動キックボードのシェアサービス)で、主要な観光名所やマルシェを覗きながらホテルへ。地上を移動していたので、メトロを使うよりも、それぞれのカルチエの様子が良くわかり、新しい発見がありました。

 楽しみにしていた夏至の音楽祭は、午後6時過ぎから盛り上がり始めました。大通り沿いのレストランがテラスに作った特設ステージではロックバンド、裏通りではクラリネットやクラシックギター。ショッピングセンターの広場はアフリカン・ドラムのバンドが歌って、見ている人も一緒に歌って、中には踊り出す人も…これを見に来たのです!夢が一つ叶いました。

余韻に浸りながら、その翌日にモンパルナス駅からトゥールに向かうTGVに乗りました。プラットフォームへは改札が出来ていて、3Dバーコードを読ませて入場する仕組みに変わっていました。バリデードが必要なのは、駅で発行されたBilletだけ。少しずつ便利になっているんですね。

トゥールラングに留学

週明けの月曜日からは、トゥールラングに入学。ホームステイ先から歩いて行ける距離でした。
私が加入したA1-2対象の初心者クラスは合計6人、うち5人が日本人でした。先生たちの容赦ない早口に最初は驚きましたが、面白い話だから聴き逃したらもったいない!必至でついて行きました。パズルやゲームを使った授業も、テンポ良く刺激的でした。最終日の授業の後は、アクティビティでタペ(ロワール名産の梨の保存食)の工房見学に行って、伝統文化に触れるチャンスもありました。

ただひとつ残念だったのは、クラスメイトの私語が多かったことです。フランス語に集中している時に、日本語と英語がランダムに耳に入ってくるために混乱…。結果として不完全燃焼となってしまいましたが、浴びるようにフランス語を聴き続けたこと、奥行きのある口語表現に触れたことが、今とても役立っています。

全体を振り返ればトゥールラングでは、充実した学生生活が送れていたと思います。気に入って何度もここに戻って来る生徒の一人に、私もなるかもしれません。ヤニック先生、その時は「ヤメテクダサイー!」 (先生が困った時に口走るフレーズ)は、言わないでくださいね。(笑)

一方で、ホームステイでは、高校で教えるイタリア系のマダムと、なんとパリにTGV通勤するご主人にお世話になりました。留学生は私のほかに、メキシコからの2人。5人全員が集まるのは午後8時のディナーで、マダム手作りの美味しいお料理を囲んで、その日の出来事や、翌日の予定などを話しました。私が話すフランス語も、発音を直していただきました。メキシコの留学生は、簡単な単語と文法だけで流暢に会話をつないでいたので、私の目標になりました。

滞在中は、多くの方と交流できる隣人祭にご招待いただいたり、独り立ちした息子さんの帰省をきっかけに、いつも優しいマダムが、さらに愛情豊かなイタリアのマンマに変身してしまったり(笑)、息子さんからフランス式挨拶の洗礼を受けて呆気にとらたことも、楽しい思い出です。
ホームステイだからこその体験で人々の暮らしに触れ、フランスでの生活を多面的に知ることが出来ました。

トゥールの過ごし方

学校があるトゥール近郊にも、観光スポットがたくさんありました。中でも、ホストファミリーからお勧めされたのは、幾何学模様の庭園で有名なヴィランドリー城。学校が始まる前の日曜日に、駅前のお店で自転車をレンタルして出かけてみました。お城や庭園も素晴らしいのですが、もっと良かったのは、信号すらない田園風景の中で、牛や干草のロール、清流や小さなコミューンを見ながら走り抜けた、片道1時間のサイクリングです。まるで、小さなツール・ド・フランスのようでした。

一方で市内中心部は、駅前にある美しい市庁舎から、大きな遊歩道とトラムが走る真っ白なショッピングストリートがあって、予想以上に栄えていました。ちょうど夏のSaldeの時期だったので、学校の帰りはのんびりとウィンドーショッピングを楽しみながら、スターバックスコーヒーに寄って、授業の復習をするのが日課でした。フランスまで来てまで?…という思いはありましたが、学校に通っていた時期はちょうどCaniculeで、連日厳しい暑さ(昼37度・夜28度前後)が続いていたので、アメリカ資本らしい冷房完備の涼しい環境は、体調を管理するためにもとても助かりました。注文をすると、コーヒーカップに名前を書いてくれるのはアメリカ式でしたが、私の名前のスペルはしっかりとフランス式に変わっていました。(笑)

TGVで6時間の旅
一週間のプティ留学の後、次に向かったのはモンペリエでした。トゥールからは直通のTGVがないので、いったんパリのモンパルナス駅に戻り、リヨン駅で違うTGVに乗り換え。フランスの鉄道は出発するプラットフォームが直前に発表になるのですが、リヨン駅から乗るTGVは20両以上もある車両番号が、一号車から順番ではなくてなぜかバラバラに並んでいたので、指定席を探すために重たい荷物を持って行ったり来たり…。全てが秩序だった日本と違って、フランスでは大きなターミナル駅で鉄道に乗りこむこと自体が一大イベントなので、緊張の連続でした。TGVに乗り込めば一安心で、旅情あふれる食堂車両でコーヒーを買ってリラックスしていると、モンペリエに到着するまではあっという間でした。

地中海の街モンペリエでプティ・バカンス

ヤシの木、色彩のはっきりとした花、クリーム色の建物の雰囲気…すべてが南国ムードに溢れていました。

街の広場には、豊富な水資源を物語る大きな噴水がいくつもあって、水着姿の子供たちだけではなく、大人と犬までもがプールのように水に入って涼んでいました。自由ですね!さらに、周辺には「Le salle avec climatiseur →」(冷房効いて〼→)という、なんとも微笑ましい張り紙を掲げたレストランもあって、街全体でゆったりと真夏の太陽との共存を楽しんでいる様子でした。

旧市街・新市街を見て歩くだけでも十分楽しめましたが、名物のおもちゃのようなトラムやSNCFのローカル線に乗って、いろいろな場所に足を延ばすとも出来ました。

地中海は中心部から10km、トラムと歩きで1時間で到着しました。釣り・読書・海水浴等、思い思いの楽しみ方が出来るマリーナやビーチが都市部のすぐ近くにあって、リゾートが身近。心豊かでおおらかな人々を育む環境が、とても羨ましかったです。

さらに、モンペリエ・サン・ロック駅からは、ローカル線とバスを乗り継いでユゼスの村にも日帰りで遊びに行けました。大塚さん一押しの、フランスで最も美しいと評判の小さなコミューンです。お城の見張り台からは、美しい建築物や、噴水(飲み水が汲めます!)が点在する旧市街を一望にすることが出来て、まるで絵にかいたような世界でした。

南フランスに行ったのは初めてでしたが、人々がのんびりとしていて、私が拙いフランス語で伝えようとする姿勢を見せると、辛抱強く待ってくれました。会話のペースが速いパリやトゥールでは、慌ててしまうことが多く、例えばレストランでは知っていたという理由だけでメニューを選んだり、偶然聞き取れた単語の品物を頼んでしまったりしました。一方で、モンペリエではお店やホテル、レストランでも、十分に時間をかけてコミュニケーションを取ることが出来きました。そのおかげで、親切なパン屋さんでは珍しい薪オーブンの厨房を見せていただいたり、ショッピングに入ったお店でも丁寧に接していただいたり、お城では詳しい解説をしていただいたりetc…親切さ・温かさを受け取ることがたくさんあったので、一人旅で寂しいと感じることがありませんでした。

帰国して

今回は、フランス語を学び始めてからは、初めての渡仏でした。一年半前、ボンジュールとメルシーしか言えなかった頃に比べると、旅の奥行きが格段に増していました。南仏での経験も、フランス語がなければ味気ないものだったかもしれません。

留学が実現できたのは、まず家族や職場の理解と協力があってこそですが、安心して初めての留学に出て、安全に旅行まで楽しむことが出来たのは、大塚さんのご尽力のおかげです。学校の事務手続きに留まらず、綿密なプランニングから出発した後まで支えていただいた大塚さん、本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

また、留学をしたからこそ、フランス語を学ぶ機会の尊さを再確認することもできました。幸いにも私は、日本に居ながらにしてエコールサンパで授業を受けることが出来ます。とても貴重なので、一回一回のレッスンをもっと大切に、教わったことは丁寧に復習をしてゆこうと気持ちを新たにしました。

精進いたします。エコールサンパの皆さん、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。