☆フランスが私を呼んでいる

27才の時、5年間勤めていた会社を辞め1年間フランスに滞在しました。なぜ行きたいと思ったのか。それは初めてフランスに行ったとき、なんとものびやかなこの国の空気に魅せられたからです。

今回の渡仏の1年前にエコールサンパの語学学校&ホームステイプログラムで1週間トゥールに滞在しました。広い空、のどかな川沿い、立派な建物、おいしい家庭料理…すべてが素晴らしすぎました。「フランスで日常の暮らしを送ってみたい」、帰国してからはそんな想いが強くなる一方でした。決心するまでにたくさん悩みましたが、行かなかったら後悔すると思ったし、最後はとうとう悩み疲れ、1年間の滞在かつ就労が可能なワーキングホリデービザでの渡仏を決意しました。

☆フランスで何しよう?どこに住もう?

渡航を決めた後は早速美奈子さんとのカウンセリングです。語学学校に通う期間の相談、仕事や家を探す方法、長期滞在にあたっての心がまえなどを教えていただきました。

最初の4ヶ月間はトゥールでホームステイをしながら語学学校に通おうと計画。フランスへの熱を高めてくれたこの街に住もうと決めたのは自然なことでした。その後はトゥールに残って仕事を探そうかな、モンペリエへ引っ越そうかなとなんとなく考える程度に留めました(結局はそのどちらとも違う道へ進むこととなりましたが…)。

☆ただいまトゥール!

ありがたく、前回と同じホストファミリーの家に滞在できることに。駅まで迎えに来てくれたホストマザーとの再会の瞬間は、「この滞在は必ず素晴らしいものになる!」と思わせてくれました。

授業後に韓国人のクラスメイトとアジアンマーケットに行ったり、一人で気ままにウインドウショッピングをしたり、週末に隣町まで足を延ばしたり…ガラッと変わった日々の生活に心地よい自由を感じていました。

☆お城マスター

毎週金曜日は語学学校のアクティビティに参加し、ロワール地方ならではの古城めぐりを満喫。森の中にたたずむユッセ城、一時は牢獄だったロシュ城など、お城ごとに特徴や歴史が感じられるのが興味深かったです。はるか昔の建物なので暖房があるはずもなく、11月、12月のお城見学は石床から伝わる足の冷たさが厳しかったのも思い出の一つです。

☆新たな街へ

4か月のホームステイ生活、ホストマザーと涙のお別れと再会の約束をして、ボルドーへ引っ越しました。フランスに来てから出来た彼の家に転がり込んだのです。運とタイミングが良かったと思います。おかげで大変と言われている家探しの苦労はせずに済みました。

☆働きたい~3ヶ月の求職活動~

ボルドーに移ってからは、仕事探しを開始。求職サイトで履歴書を送る日々です。華道を習っていたので花屋にも興味があり、ある日思い切って街中の花屋を突撃訪問。行きのトラムの中で言うフレーズを繰り返し練習して臨みました。結果は玉砕。ただ、営業職として働いていた時に身に付いた度胸が役に立ちました。

履歴書を出したところから電話が来ても、そこでフランス語力を見抜かれて面接までこぎつけないことも。自分の語学レベルやそれによって仕事に就くチャンスが限られることが悔しい…そんな状況で落ち込むこともありましたが、何か新しい事や楽しいこと(例えば映画館に行く、花屋のアトリエに参加する)をして気持ちを切り替えていました。

そして職探しから3か月後、レストランのウエイター職の面接を受けることに。またダメかなぁ、でもやるだけやってみよう、そんな気持ちで臨んだ面接の最後、「じゃあ明日から来てね」とさらっと言われ、驚きと喜びとほっとした気持ちと明日から頑張ろうというやる気が入り混じった感情の中で家に帰ったことをおぼえています。

☆カクテルの女王?!

大変だったのは仕事内容を覚えることよりも、フランス語との戦いです。仲間の言ったことを正しく理解できずに的外れなことをしたり、お客さんも私がフランス語を話せるかどうかなんて気にせず話しかけてくるので気が抜けません。仕事から帰ったあとは、聞こえたフレーズや覚えた単語を日々ノートに書きためました。おかげでフランス語がかなり鍛えられました。

しばらくしてバーカウンターでのカクテル作りを任されましたが、私はこの役割が気に入り、一員として働く自覚や楽しみを見出せました。5ヶ月間必死でしがみつきながら日々を送っていましたが、これこそ私が思い描いていたフランスでの生活でした。

☆何色にも変えられる

渡航前のカウンセリングで美奈子さんがこのようなことを話してくれました。「起きる事実はニュートラル、それに自分が勝手に色を付けている」、と。良いことも悪いこともその価値を決めているのはすべて自分だということです。当時の私にとっては新しい考えでしたが、ここには書ききれないさまざまなことを経験した1年を振り返った今、その意味が分かる気がします。一つの事実をどう捉えるかは自分の受け入れ方次第です。いずれにせよ、夢が実現できたこと、人と環境に恵まれて過ごせたことが何よりも嬉しいです。これからの人生もフランスとともにあることになりそうです。