ゴッホの作品を沢山みたい。ゴッホの手紙をフランス語で読んでみたい。ゴッホの作品を描いた季節に合わせて、描いた場所に立ってみたい。 定年になったら、ゆっくりとフランスを訪ねてみたい。そんな思いを10年以上前から夢見ていた。フランス語を勉強しなくてはと、独学で仏検3級に何とか合格したものの、会話やコミニュケーションを学ぶには語学学校に通わないとできないと思い、エコール・サンパにお世話になった。

今年、定年を迎え、3週間のゴッホの旅を計画した。オランダのゴッホ美術館、クローラー・ミューラー美術館を3日かけて150点以上のゴッホの作品を見ることができた。次にベルギーのゴッホが画家になる前に暮らしていたボリナージュの炭鉱地帯などを訪ねた。観光地ではないので、現地で行き方を教えて貰うのだが、観光化されていないので、バスの運転手もわからず、乗ってきた乗客に教えて貰いながら訪ねた。今回フランスを訪ねるのは、5回目だが、フランス語で話しかけても、こちらが上手く話せないとわかると、相手は、ゆっくりと優しく教えてくれる。話しかけることに抵抗がなくなった。エコール・サンパで学んだことが役に立っていると実感できた。

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今回は、クローデイン先生のお世話になった。自由が丘校の校長先生であったとき、何回か授業を受けさせて頂いた。厳しい先生だったというイメージとは違 い、優しい笑顔で駅まで迎えに来てくれた。今回の旅はどこを廻ってきたのか質問され、ゴッホの旅を我慢強く聞いてくれた。 翌朝、ブッフォン公園まで、散 歩に出かけ、日の出を見た。中世の建物がそのまま残っている。クローデインの家も中世の建物だそうだ。外の気温は、30℃を超えているのに、石の建物の中 は快適である。つい窓を開けると、暑い空気が入るから締めてといわれた。乾燥しているためだそうだ。

授業は、自分の家族について話しをした。語彙も多いし、早く話すとほめてくれた後、文法の間違いを指摘してくれた。栄治のフランス語はフランス人には通じないよ。主語と動詞がないんだ。主語は人を主語にすると動詞が簡単だよ。後半は、クローデイン先生の本棚からゴッホの画集を出してきて、タイトルを読んでみなさいといわれた。発音の勉強だった。自分の興味があるので、頭の中にしっかりと入っていき、午前中の授業が終わった。

翌日の授業は、昨日のことを過去形を使って話すようにいわれた。朝の散歩、朝食、昼食、午後のスミュール観光、夕食、夜の星空など、わからない単語については、紙に書いてまとめてくれた。後半は、政治について話しをするようにいわれた。選挙のことや環境について話しをしたが、長いフレーズで話しをするように指摘された。昼食後少し昼寝をしてからフォントネー修道院の観光をした。フランス語しか話しをしてくれなかったクローデイン先生が、修道院の説明をフランス語でするのは難しいからと流暢な日本語で案内して頂いた。

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水曜日は、一日自由の日で、何をしたいかと聞かれて、森の中で本を読みたいといったら、フォントネー修道院へ行くのに森があり、良いところだと地図と方位磁石を渡された。ゴッホの本をリュックに入れて、赤と白のマークをたどれば修道院へ行けるというので歩き始めた。広大な畑の中を地図を頼りに、迷いながらも修道院へたどり着いた。作って頂いたお弁当を食べて木陰で本を読んでいた。フランスでゴッホの手紙を読む。フランス語ではないけど、なんと贅沢な時間だと満足していた。赤と白のマークをたどりながら、森の中で人に会うこともなく、2時間ぐらい歩いた。池に出て、子ども連れの夫婦に出会った。道を聞くと反対方向だよと教えてくれた。森の中を戻りながら、秋の高原に咲く花々と出会った。カササギや白い雄牛も印象の残っている。

木曜日は、クローデイン先生の体調が良くなかった。テキストとカセットを使って教えてくれた。具合が悪そうなので、授業を休みにしても良いといったけど、きちんと教えてくれた。金曜日の観光でノワイエ・スュール・スレンに行ったときも先生の履いていたサンダルが壊れてしまったとき、ひもでサンダルを足に縛って美しい中世の都市を案内してくれた。先生は本当に気丈な人だと思った。

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日本に戻ったら今夏受験した仏検準2級の合格書が届いていた。クローデイン先生にEメールで報告して、先生と撮った写真を送ったら、すぐに返事が戻ってき た。今回のホームスティで先生のお宅に泊めて頂いて、フランスの生活を体験できた。先生の手作りのおいしい食事を頂け、最後の日までお弁当を用意してくれ た。フランス語を話すコツを教えて頂いた。ゴッホの手紙を読み、厚いゴッホの全画集を見ながらゴッホの作品を振り返ることができた。地平線の彼方まで続く 畑のなかを走り、小さな中世の都市を尋ね、野生のブルベリーを食べ観光も堪能した。北極星が高い空で輝き、夕日で赤く染めた空を見ながら民族ダンスを見に 出かけた。物を大切に使っているクローデイン先生から学ぶことがたくさんあった。1週間のホームスティはあっという間にすぎたが、定年のご褒美として企画 したゴッホの旅はとても満足することができた。クローデイン先生をはじめ、沢山の方々のおかげと感謝している。