今回のホームスティの目的は、今まで2年間学んできたフランス語を現地で確かめ自分の現在の実力を確かめることと、バスク地方の自然、文化に触れることでした。初めてのホームスティを通して、通常の観光とは一味違った現地人との交流をすることも大きな目的でした。
ジャン・リュック&カロリーヌ夫妻の大きなサポートもあり、彼らと現地フランス人との会話において、フランス語のみの意志疎通ができ、第一の目的は達成することができました。また、今まではあまり触れることのなかったバスクについて、歴史、宗教、料理等の文化と素晴らしい景観に触れることができました。
ホームスティでフランスを身近に感じられ、私自身の貴重な経験になりました。そして、今後のフランス語学習の自信にもなり、自分の財産となったと信じています。また、現地での自分を思い描き、事前に準備をしておいた事が、ホームスティでの生活を充実に繋がったと思っています。

 

準備
フランスには、今まで2回訪れたことがありました。しかし、久しぶりの海外、しかも初めての一人旅行、更に不穏な世界情勢もあったので、十分な準備が必要と考えていました。
まず最初に、フランス語のみで最低限の意志疎通を目指して、週一回のサンパの授業以外に、フランス国民教育省のDELFのA1,A2を取得しました。
安全対策としては、外務省のホームページや私自身が勤務する企業の海外渡航に向けた注意点を熟読しました。そして、サンパのホームスティご担当の大塚さんとの3回の面談を通して、観光先ルート、移動時のシミュレーション、現地での服装、持ち物、安全に関するアドバイスをして頂きました。
最後に夫妻との交流を円滑にすべく、事前に娘さんのマリーヌ講師に夫妻の嗜好を確認しました。また、事前にE-Mailを送り自己紹介をすると共に、空港ですぐに私を見つけて頂けるように写真を送付しました。
これらの段取りを終えた事で、自分としては万全の準備でホームスティに臨みました。

 

初対面
パリから乗り継ぎポーに夜9時過ぎに着くと、夫妻が私をすぐに見つけて笑顔で迎えてくれました。握手を終え、自己紹介を済ませるとやっと安堵することができました。車の中でここまでの旅の様子や事前にメールで書いたことを元に、自分の方から積極的に会話をするように心掛けました。二人共、とても気さくに受け答えをしてくれたので話しやすかったです。家に着くと、早速全ての部屋の案内をして頂いた後、1階の寝室で荷物をほどき、用意していた土産と事前に考えていたメッセージを伝えました。移動と時差ボケの疲れはあったのですが、最初が肝心と思いました。日本の民芸物が好きなカロリーヌには、桃色の地に鶴の絵の描かれた扇子とハンカチ、お酒の好きなジャン・リュックには日本酒を用意し、土産の説明とこれからお世話になる旨を伝え、大変喜んで頂けました。必ずしも土産が必要という訳ではないのですが、話のきっかけとして良かったと思っています。

 

滞在した家

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3月9日から14日まで滞在したPAU近郊の街の家です。隣は広い牧場で小高い丘の上にある一軒家です。日の出の時には霧が幻想的に立ち込めていて、朝は鳥のさえずりで目が覚めました。暖炉のある落ち着いた居間や、鳥が餌を啄みにくる広い食堂、そして何よりも静寂が印象的でした。この静寂こそ、会話に理想的な環境と感じました。
外には、リスが近くの木まで来ていました。暖かくなると、エゾシカがすぐ近くに出現するようです。裏手にはプールや暖炉に燃やす薪がうず高く積まれていました。

 

美食の街 ~サン・セバスチャン

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バスク地方は、美食の街として知られていますが、ここの名物は何と言ってもピンチョス! ピンチョスとは、串で刺したハム、オリーブ、海老や烏賊の魚介類、バゲット等、ビールやワインのつまみとして食べる料理です。BARには一人では入るのに勇気がいりますが、夫妻の行きつけであり寛ぐことができました。好みのピンチョスを沢山頂きすっかり満足しました。ビールと共に頂き、最高に贅沢な時を過ごす事ができました。
サン・セバスチャンは、スペインの高級リゾート地として知られ、海岸沿いには城のような豪勢な住宅がありました。既に春を思わせる暖かな日差しの中で、ピンチョスとビールでほろ酔い気分になりながら、海岸沿いを散歩しました。

 

中世の面影 ~レスカー、ポー

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歴史あるレスカーとポーでは、中世に建造されたままの箇所もあり、当時の壮麗な面影が残っていました。ブルボン朝のアンリⅣ世が住んでいたポーの城では、城から見える各々の季節を描いた情景が描かれたタピスリーが見事でした。しかし、スペイン人のガイドによる流暢なフランス語の理解と専門知識の不足に苦しみ、立ちっ放しの見学も相俟って腰痛に襲われ疲れてしまいました。帰宅し夫妻の了解を得て意識不明になるほど熟睡してしまいました。この日は、自分の能力不足を感じた一日となりました。

 

ショコラとバスク織 ~バイヨンヌ

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バイヨンヌは、フランスで初めてチョコレートが入ってきた街として知られています。早速入ったCAZENAVEというカフェで、夫妻お勧めのショコラ・ムースを頂きました。とても美味しかったです。その後、気さくな女性店員がいる布地屋で、ナプキンやテーブルクロス等を赤白緑の色と7本のストライプの特徴のあるバスク織を買いしました。

 

リゾート地 ~ビアリッツ

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ビアリッツは、大西洋海外最大のリゾート地として知られています。バスクの家は、白い壁と赤い屋根を特徴としているのですが、この街はナポレオン3世妃ウジェニーが夏を過ごすようになって以来、王族貴族が住むようになり豪邸も数多くあり目を惹きました。昼食は海外沿いのレストランで、ほくほくのジャガイモの酢漬けの上に置かれた大きな白身魚と白ワイン、そして強い日差しのお蔭ですっかり良い気分になりました。

 

マルシェとワイン見学 ~ポー

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バスク旅行の最終日の午前中は、ポーのマルシェとワインのカーブ見学に行きました。
今まで晴天に恵まれていたのですが、この日は雨でした。マルシェでスペイン産のハムとフォアグラを買いました。カロリーヌがここの牡蠣は美味しいからと言って、昼にご馳走してくれました。翌日はパリに一人で発つ予定だったので、実は生牡蠣は少し心配だったのですが、新鮮でとても美味しかったです。
ポーは、ジュランソン・ワイン(白)が名高く、ワイン試飲の後、収穫の遅い深い甘みを感じたワイン3本を買ってきました。ホームスティ先でフォアグラやバベルの塔のような巨大なケーキと一緒に頂きましたが、非常に組み合わせが良かったです。

 

宗教的な体験 ~ルルド

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バスク地方での最後の観光地は、少女ベルナデットが聖母マリアの出現を観た事で名高いカトリック最大の巡礼地、ルルドを訪れました。少女ベルナデットが、彼女の前に現れたマリアが命じた通り、マサビエルの洞窟の泉で水を飲み、顔を洗うと、病気が治癒する奇跡が何度も起こりました。その後、世界中から多くの人が、この奇跡の泉を訪れ水を飲み治癒祈願に来ます。私が行った時は、残念ながらこの奇跡の泉の周りの洞窟が修復中で、遠くから眺めるだけでした。マリアのシボルでもある無原罪の宿り聖堂は、荘厳な雰囲気があり静謐さが感じられました。マリア像の形をしたボトルを買い、記念に泉で水を飲む旅行者も多いようです。

 

旅の終わりに

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初めてのホームスティ、そしてフランス一人旅を楽しく終えられたのも、ジャン・リュックとカロリーヌ夫妻のお蔭です。ホームスティの最後に、ジャン・リュックは、僕の為にマリーヌの結婚式の引き出物のシャンパンを開けてくれました。

ジャン・リュックとは、晩餐の間、僕も彼も好きな昔の映画の話に花でとても盛り上がりました。料理の後片付けをしていたカロリーヌも途中から加わり、観た映画、俳優、音楽の話が尽きることがありませんでした。彼はとても器用な人で、自ら家の建て替え、建て増しをしていました。もとパイロットだけあって運転技術も確かなもので、彼の運転で色々なところに連れて行って頂きました。いつも食事のときにおいしい!を連発していて、人生を満喫している様子が素晴らしいと思いました。
カロリーヌは、現地人との会話で不自由している僕に対して、間に入ってくれわかりやすく言い直してくれました。僕の不十分なフランス語能力で5日間生活できたのは、彼女のお蔭です。日常会話ではあまり話さない修道院(le couvent)等その言葉の理解に苦しんでいる時は、言い直したり絵で描いたりして教えてくれました。
帰国後、カロリーヌとジャン・リュック夫妻には、FACEBOOKを通じて友人にして頂きました。今後もいろいろ情報交換できることを楽しみにしています。

今回のフランス旅行で、ホームスティで生きたフランス語を学び、貴重な体験をすることができました。反省としては、フランス人同士の会話に着いていけない自分を感じ、語彙、日常会話表現は元より、日頃から歴史を含めたフランス文化全般を深く学ぶ必要を痛切に感じました。
大塚さんには、ホームスティのコースには含まれないパリのガイダンスも懇切丁寧にご説明頂き、この場を借りてお礼申し上げます。